皆さんの会社では、社内向けのチャットボットを導入していますか?近年バックオフィス効率化向けのツールの利用が一般化し、自社内に取り入れられているところも多いかと思います。では実際に導入されているチャットボットは従業員からたくさん使われて定着しているのでしょうか?
私はバリュエンステクノロジーズ社でwebディレクターをしている岡本と申します。私は以前勤めていた企業でチャットボットを使う派だったのですが、そこで導入されていたチャットボットは社内でほとんど利用されておらず、もはや知る人ぞ知るコンテンツと化していました。せっかく導入するならチャットボットは使われないと意味がないですよね。
この記事では使われないチャットボットに見られる特徴を深掘りし、チャットボットに必要な機能、選び方のポイントについて解説していきます。
私が以前目の当たりにした、社内でチャットボットが存在すら忘れられている状態。導入時には担当の方やその上司、部長や社長といった決裁を通しているに違いありません。導入OKをもらうために、社内の課題や状況を整理してさまざまな観点から比較しているはずです。そして、このチャットボットを導入すればバックオフィスへの問い合わせが減り、社内のナレッジが一元化され、バックオフィスの業務負荷が以前と比較し削減されること間違いなし!とプレゼン用の資料を作成したり社内に周知したりしてチャットボットに期待していたことでしょう。
また、チャットボットがあれば従業員が平等にアクセスすることができるため、社内での情報格差の解消にもつながるでしょう。では、チャットボットはなぜ日の目を見ることなく存在を忘れ去られてしまったのでしょうか?
そのチャットボットの存在を初めて知ったのは、普段あまり話さない職場の先輩と会話した時でした。その先輩は社歴が長いので導入時のことを覚えていたのでしょう。私がちょうど何かしらの社内規定を探していた時のことでした。「実はここをクリックするとチャットボットが出てくるから、そこに質問すると回答出てくるんだよ〜」え?チャットボットなんて入ってるの?聞いたことなかった・・
社内ではバックオフィスのメンバーが業務に追われていることや、やることが山積みで大変だという噂をよく聞いていました。そんな中、私を含めチャットボットを活用している人は皆無だったので何かわからないことがあればバックオフィスの担当者の誰かに直接聞きに行くかDMするかが当たり前になっていました。ただでさえ忙しい中で毎回個別に回答するのは大変です。チャットボットを導入していたのだから、チャットボットが解決してくれそうなのになぜチャットボットは忘れ去られてしまったのでしょうか?
先輩に教えてもらい、チャットボットの存在を知ってから私は何度かチャットボットを使ってみました。ところが、何かしらの社内規定を探そうとしても出てくるのは2年前で止まっている資料や見当違いの回答ばかり。規定が出てくるのはまだありがたいのですが、そもそもその規定自体が古いままなのか、特にアップデートされず正しいのかどうかもわからないので結局担当者に確認するという作業が発生していました。
また、チャットボットに質問してみても痒いところに手が届かない感覚があったり、質問に対する回答の口調がなんだかとても機械的だったりしてあまり好感を持てませんでした。こうしたことから総合的に、なんだか使い勝手が悪い上に使っても結局欲しい情報に辿り着けないという印象になりチャットボットを使わなくなりました。おそらく、導入時から在籍していたメンバーも同じように感じて次第に使わなくなったのだと思われます。そうするとバックオフィスの担当者にそれぞれが聞くことになり業務が属人化するため、結果的に情報が人間関係に依存してしまい社内の情報格差は広がる一方でした。
・チャットボットの存在が忘れられていた。
・導入当初は期待されていたが、実際には利用されなかった。
では、せっかく導入した社内向けチャットボットはなぜ定着しなかったのでしょうか?使われなかったチャットボットには下記3つの原因がありました。
これまでメジャーに利用されているチャットボットの多くはシナリオ型のチャットボットです。シナリオ型のチャットボットはユーザーから多く受ける質問を事前に想定し、シナリオを設計して登録します。質問に対して回答を分岐していき、回答に辿り着くように設計をします。シナリオ型のチャットボットは導入コストが比較的安価で手軽に始めやすいといった理由などから多く使われてきましたが、自然言語処理が充分でない時もあるため自然な会話の流れを阻害することがあります。
自然言語処理はコンピュータが人間の言語を理解し、生成し、解析する技術のことであり、これが不十分だとやりとりが機械的で不自然に感じてしまうことがあります。また、ユーザーが同じ質問を異なる言い回しで尋ねた場合などにも、チャットボットは同じ定型文で回答することが多いため文章が冗長に感じてしまうこともあります。
決められたスクリプトやフローに従って動作するチャットボットは、予期しない質問や状況に対応することが苦手です。シナリオにない質問を受けてしまうと、適切な回答ができずユーザーが満足しないまま終わってしまうことがあります。チャットボット側が複雑な問題や具体的な問い合わせに対応ができないと、ユーザーはフラストレーションを感じます。幾度か(人によっては一度でも)こうした経験をすると、ユーザーはチャットボットを信頼できなくなってしまいます。
解決に至らないチャットボットを使い続けることはなくなるため、結果的にバックオフィスの担当者に直接相談するようになってしまいます。
特にシナリオ型のチャットボットは、新しい質問や状況に対応するために頻繁にシナリオを更新する必要があります。社内では常に規定がアップデートされたり新しい規約ができたりするのが日常茶飯事かと思います。そんな中、新しくシナリオを設定したり古い設定を更新したりする作業は時間も手間もかかり、企業の担当者にとって大きく負担がかかります。
当然、担当者には他の仕事もあるためシナリオの更新作業になかなか時間を割けず、チャットボットのシナリオは古い状態のままという状態に陥ってしまいがちです。ユーザー側もチャットボットを使用している中で回答された情報が古いと感じると信用できなくなりそのまま利用しなくなってしまいます。
・社内向けチャットボットが定着しない理由は、自然な対話ができずユーザーエクスペリエンスが低いこと、予期しない質問に対応できないこと、保守管理が手間で最新化が困難なことです。
それでは、社内向けチャットボットがユーザーから使い続けてもらうためにはどんな観点が重要になるのでしょうか?
使い続けてもらうチャットボットは、ユーザーが使いやすい = ユーザーエクスペリエンスが高いことが重要です。自然に心地よく利用してもらうためにはAIを搭載していて自然言語処理を扱えるチャットボットだと、ユーザーが自然な会話をすることができるため使いやすく感じやすいです。また、チャットボットのインターフェースが直感的で使いやすいことも大切です。チャットボットに質問するということは何かしらの回答を急いでいたり問題を解決したいと思っていたりするため、メニューがわかりやすく操作手順も簡単といったことが重要になります。
チャットボットが高い問題解決能力を有していることも非常に大切です。AIを搭載したチャットボットであればチャットボット自体が企業内で使えば使うほど学習し高い問題解決能力を身につけていくことができます。また、FAQをしっかりと充実させることで回答精度を上げることも大切です。上記に加えてどうしてもチャットボットが対応できない複雑な問い合わせがあった場合、スムーズにバックオフィスの担当者にエスカレーションできる仕組みがあることも重要です。このような有人対応があることで、問題が確実に解決される経験を得られるとユーザーは問題が解決された感覚があり、再度チャットボットを利用する動機づけとなり社内に定着しやすくなっていきます。
チャットボットを通じた問題解決が社内の中で標準化していくと、結果的に社内での情報格差も解消されていきます。チャットボットでの対応から有人対応にスムーズに引き継ぐ機能が搭載してあるのがおすすめです。
チャットボット導入後の運用の段階で、従業員からのフィードバックを収集しチャットボットがどのように使われているのか、評価はどうか、課題点は何かといったことを分析するのが重要になります。自社内で解決が難しい問題があればチャットボットのベンダーに共有してより良い運用を一緒に行っていくことが大切です。特にAI型チャットボットは利用を重ねて学習し、より自社にあったチャットボットにしていく必要があるため、自社の業務プロセスや従業員のニーズに合わせて日々設定する必要があります。
使いはじめの頃には有人対応が必要だった問題も、何度かの対応を重ねてチャットボットが学習していくうちにAIがユーザーのニーズに合った回答をできるようになっていきます。
では、具体的にチャットボットを選ぶ際のポイントについて解説していきます。
ユーザーリサーチが徹底されているチャットボットを選ぶことが大切です。社内向けチャットボットは、社内の従業員のニーズ、課題、利用シーンなどを深く理解した上で設計されているものである必要があります。従来のチャットボットでユーザーがつまづいていたポイントがカバーされている製品であることが重要です。
例えば、ユーザーが本当に必要としている機能は何か、使いやすいインターフェースはどういったものか、ユーザーが直面しやすい障害は何かといったことを特定しチャットボットに反映されているものであることが理想的です。
高度な自然言語処理技術を導入しているAI型チャットボットには多くのメリットがあります。まず、ユーザーとの対話をより自然で人間らしく行うことができます。そのため、チャットボットであっても、まるで人間と対話していると思うほど自然に質問や回答のやりとりをすることができます。
また、ユーザーの意図を理解する能力も高いためユーザーが必要としている情報をより迅速で正確に提供することができます。対話の文脈を理解する能力も持っているため、以前にユーザーが話した内容を踏まえて応答することができるためユーザーの体験も向上します。
柔軟な対話設計があると、ユーザーのさまざまな状況やニーズに応じてチャットボットを利用することができるようになります。基本的にはチャットボットの対応でやりとりをして解決に導くことができるが、場合によっては有人対応に繋げることもできるなどといった柔軟な設計がされていることが大切です。
このような設計がされていると、特定パターンだけではなくあらゆるユーザーニーズに対して適切な対応ができるため確実に課題の解決に導くことができます。これにより、継続的な利用へと繋がり、導入したチャットボットが社内で定着します。
チャットボット自体が継続的にアップデートされていく製品であることも大切です。ユーザーからのフィードバックを定期的に収集し、改善に活かしているベンダーのチャットボットを選ぶと良いでしょう。こうした改善を行ってくれるベンダーは、ユーザーのことをよく考え、常に最新のニーズに対応できるチャットボットの維持に励んでくれるでしょう。
また、AIに精通したエンジニアが開発を行っているチャットボットは性能や信頼性が高いです。AIを搭載している製品では常に最新の技術の動向を判断して改善していくことが重要なためです。さらに、こうしたエンジニアのいるチームであればシステムのトラブルやユーザーからの複雑な問い合わせにも適切に対応してくれます。
チャットボットは、自社に適切な製品を選ぶ適切な運用ができれば業務煩雑の解消やコスト削減などたくさんの効果が期待されます。一方で自社に合わない製品を選んでしまったり、適切な運用に至れなかったりするとそのまま使われず、場合によっては費用の損失になってしまうことも。バックオフィス担当の皆さんも、チャットボットを利用する従業員の皆さんも社内全体でハッピーになれるようなチャットボット活用ができるといいですね。
チャットボットを活用することで、バックオフィス担当の皆さんの負担が減り、従業員も知りたい情報にすぐアクセスができ社内の情報格差が軽減していきます。helpmeee! KEIKOは、ここまで述べてきた機能やポイントを満たす数少ないAIチャットボットです。まずは無料でトライアルできますので下部のボタンからお気軽に試してみてください。もしここまで話が長くて読み飛ばした方は、AIが要約した文章を用意してありますので、ぜひ読んでみてください。
社内向けチャットボットの導入は増加しており、バックオフィス効率化ツールとして多くの企業で活用されていますが、実際に従業員に使われているかどうかは別問題です。筆者の以前の職場でも、チャットボットがほとんど利用されず存在を忘れられていました。導入時には大いに期待されていたものの、使われなかった理由として、自然な対話ができずユーザーエクスペリエンスが低下していたこと、意図を理解せず誤った回答をしてしまうこと、保守管理が手間で最新化できなかったことが挙げられます。
シナリオ型チャットボットは、自然な会話が難しく、ユーザーが同じ質問を異なる言い回しで尋ねると定型文で返答されるため、冗長に感じてしまいます。また、予期しない質問に対応できず誤った回答をすると、ユーザーはフラストレーションを感じてチャットボットを信頼しなくなります。さらに、シナリオの頻繁な更新が必要ですが、担当者にとって負担が大きく、最新の情報を提供できない場合があります。
チャットボットが定着するためには、ユーザーが使いやすいインターフェース、高い問題解決能力、継続的な改善とアップデートが重要です。AIを搭載した自然言語処理が可能なチャットボットは、ユーザーとの対話を自然で人間らしく行い、意図を正確に理解し適切な回答を提供する能力があります。また、FAQを充実させ、複雑な問い合わせにはスムーズに有人対応にエスカレーションする仕組みも重要です。
ユーザーリサーチが徹底されているチャットボットは、社内の従業員のニーズや課題を深く理解し、使いやすい設計がなされています。継続的な改善が行われるチャットボットは、ユーザーからのフィードバックを反映し、日々の業務プロセスやニーズに合わせて設定されます。
適切なチャットボットを選び、運用することで、業務効率化やコスト削減が期待でき、社内全体がハッピーになれるツールとなります。不適切な製品を選んだり、運用が不十分だと、利用されずに費用の損失に繋がる可能性もあります。バックオフィス担当者と従業員が共にハッピーになれるようなチャットボットの活用が求められます。